豪州で暗号資産の交換・保管・トークン化資産サービスを提供する事業者には、AFSライセンスの取得・変更、顧客資産の保管と照合、取引・決済ルール、自己資本の再設計が現実の課題になります。オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が2026年10月15日に公表した「CP 392」への意見提出期限は11月27日17時(AEDT)。成立済みの法律は2027年4月8日に開始し、既存事業者の申請期限は同年10月7日です。
ただし、法律の大枠は成立済みでも、CP 392が示す保管・取引・決済・財務の細則は提案段階です。この記事は事業者の実務対応を主軸に、確定事項と提案事項、今着手できる作業を分けて解説します。利用者向けの確認点は後半の独立章にまとめました。一般的な制度解説であり、個別案件の法的助言や暗号資産の売買推奨ではありません。
先に押さえる3点
- 対象者:顧客のデジタルトークンや裏付け資産を保有し、豪州でDAP・TCPを運営する事業者が中心です。
- 確定/提案:Digital Assets Framework法と2027年の移行枠組みは成立済み。CP 392の具体的な基準・数値・様式は提案中です。
- 今やること:11月27日までの意見提出を検討しつつ、契約法人、秘密鍵管理者、認可範囲、資産フロー、出金条件、NTA試算を棚卸しします。
| 略語 | 意味 | 誰を・何の目的で監督するか |
|---|---|---|
| ASIC | 豪州証券投資委員会 | 金融サービス事業者を認可し、市場公正性と顧客保護を監督 |
| DAP | デジタル資産プラットフォーム | 顧客トークンを保有して関連サービスを提供する施設を規制 |
| TCP | トークン化カストディ・プラットフォーム | 裏付け資産への権利をトークンで記録する施設を規制 |
| AFS | 豪州金融サービス | ASICが金融サービスの認可範囲・行為・開示を監督 |
| AUSTRAC/VASP | 金融情報機関/仮想資産サービス提供者 | 交換・保管等の事業者を登録し、AML/CTF(マネロン・テロ資金供与対策)を監督 |
| NTA | 純有形資産 | 運営継続や秩序ある撤退に使える事業者自身の財務基盤を測定 |
ASICが公表したCP 392とは
2026年10月15日公表、意見募集は11月27日まで
CP 392は、新しいデジタル資産法を実務へ落とし込むための規制基準とガイダンスについて、ASICが関係者の意見を募る文書です。2026年10月15日に公表され、意見提出期限は同年11月27日17時(AEDT)とされています。報道だけの観測ではなく、ASICの規制文書一覧にも掲載された正式なコンサルテーションです。
ここで重要なのは「Consultation Paper」という名称です。ASICは方向性と文書案を示していますが、提出された意見を検討した後に内容を変更できます。期限は事業者が意見を出すための日であり、その翌日に全基準が自動で発効するという意味ではありません。
規制ガイド・資産保有・取引決済・財務要件の4領域
提案は大きく4領域です。第一はDAP・TCPの範囲、必要な認可、顧客向け文書などを説明する規制ガイド。第二は顧客資産の法的な保有構造、分別、照合、第三者保管、出金権。第三は利益相反、注文執行、市場監視、決済。第四は事業者自身の資本、流動性、資金繰り、監査です。
4領域は独立しているようで、実際にはつながっています。顧客資産を分けて保管しても、帳簿が合わなければ権利関係を追えません。注文を適切に処理しても、決済がいつ確定するか分からなければ利用者はリスクを判断しにくくなります。さらに、運営会社に事業継続の資力がなければ、障害対応や秩序ある撤退が難しくなります。
事業モデルに応じて確認すべき資料が異なる
ASICはCP 392本体に加え、利用者向けガイドと4つの添付資料を公表しています。すべての事業者がすべての設問に同じ深さで回答するのではなく、自社のモデルに関係する資料を選び、影響や代替案を具体的に検討する設計です。
交換、保管、ステーキング、トークン化資産の記録など、提供機能によって論点は変わります。まず顧客との契約、資産を動かせる秘密鍵、注文の流れ、決済、外部委託先を図にし、どの添付資料が関係するかを対応付けると読み落としを減らせます。
成立済みの法律と未確定の基準案を分けて理解する
まなぶ「法律ができたなら、CP 392ももう守る内容が決まったということですか?」
クリプ「大枠を決めた法律と、細部を詰める基準案は別なんだ。今は「決まった土台」と「変わり得る設計図」を分けて読むのが大切だよ。」
確定しているのはDigital Assets Framework法
成立済みなのは「Corporations Amendment (Digital Assets Framework) Act 2026」です。この法律は、一定のDigital Asset Platform(DAP)とTokenised Custody Platform(TCP)を金融商品として位置付け、ライセンス、開示、基準、免除、移行措置の枠組みを設けました。つまり、規制対象となる施設と監督の土台は法律として存在します。
一方、現場で必要になる保管手順、照合、決済開示、純有形資産などの具体化は、ASICの基準やガイダンスに委ねられる部分があります。法律だけを読んで対応が完結するわけでも、CP 392だけを読めば法的義務の全体が分かるわけでもありません。
確定事項と提案事項の工程表
| 日付 | 出来事 | 位置付け・事業者の対応 |
|---|---|---|
| 2026年11月27日 | CP 392意見提出期限 | 提案への回答期限。条項、コスト、顧客保護への影響、代替案を結び付ける |
| 2026年11月〜2027年3月 | ASICが意見を検討 | ガイダンスと文書を最終化。必要なら追加意見募集 |
| 2027年3月 | 文書・ガイダンス公表予定 | 最終値と様式を確認し、暫定設計を更新 |
| 2027年4月8日 | DAF法開始、申請受付開始 | 成立法の工程。新規・変更申請を提出できる |
| 2027年10月7日 | 既存事業者の移行申請期限 | 継続営業の条件を満たすため、新規申請または変更申請を完了 |
CP 392と添付文書はドラフトなので、自己資本の計算方式や報告方法は変わり得ます。一方、契約、資産フロー、帳簿、委託先、既存認可の棚卸しは先行できます。数値閾値に依存する設定だけを変更可能な形で管理するのが実務的です。
2023年の旧法案とは別の制度である
検索すると2023年のDigital Assets (Market Regulation) Billに関する資料も見つかりますが、現在の枠組みと同一ではありません。豪州政府は旧議員立法への回答で、政府提出のDigital Assets Framework法による方針を説明しています。古い解説を現在の義務として転用すると、対象範囲や手続を誤るおそれがあります。
資料を確認するときは、文書名だけでなく発行主体、公開日、成立法か法案か、意見募集案か最終文書かを見ます。日付の新しさだけでなく、法的な位置付けを確認することが重要です。
新制度の対象となるDAP・TCPと必要な認可
DAPとTCPはトークンそのものではなくプラットフォームを規制する枠組み
DAPは、顧客のデジタルトークンを保有し、関連するサービスを提供するプラットフォームを中心に捉える概念です。TCPは、裏付けとなる資産への権利などをトークンで記録するカストディ型のプラットフォームです。焦点は「このコインは暗号資産か」という銘柄分類だけでなく、誰が顧客資産を保有し、どの施設でサービスを提供するかにあります。
そのため、名称に「取引所」がないサービスや、画面上は単なるアプリに見えるサービスでも、実際の資産保有と権利構造を確認する必要があります。反対に、ブロックチェーン技術を使うだけで直ちにDAP・TCPになるとも限りません。個別の契約と機能に基づく判断が必要です。
AFSライセンスの取得・変更と認可追加の考え方
対象事業者にはAustralian Financial Services(AFS)ライセンスの取得、既存ライセンスの変更、必要な認可の追加が問題になります。すでにAFSライセンスを持つ企業でも、新しいサービスが現在の認可範囲に入るとは限りません。
ASICは、既存のAFS事業者やINFO 225への対応として申請した事業者について、認可追加を簡素化する案を示しています。ただし、簡素化案は自動承認を意味しません。自社がどの経路に該当し、どの証拠資料が必要かを確認する必要があります。
DAP・TCP Guideとプラットフォーム規則
顧客向けのDAP/TCP Guideは、サービスの性質、費用、リスク、権利などを理解するための開示文書として想定されています。プラットフォーム規則は、参加、取引、保管、出金などの運用条件を明文化する役割を持ちます。
文書を作るだけでは足りません。実際のアプリ画面、利用規約、カスタマーサポートの説明、内部手順が一致している必要があります。たとえば出金に審査時間が必要なら、規則と画面表示の双方で利用者が把握できるようにし、例外時の対応も運用へ落とし込みます。
小規模DAPの免除には取引額などの条件がある
成立法には小規模DAP向けの免除枠があり、年取引総額1,000万豪ドルなどの条件が示されています。しかし、規模が小さいという自己判断だけで利用できる包括的な免除ではありません。顧客ごとの参入価値の上限やASICへの届出など、複数の条件を確認する必要があります。
取引額の集計範囲や関連サービスとの関係を誤ると、意図せず閾値を超える可能性があります。成長中の事業者は現時点の数値だけでなく、どの時点で免除から外れるか、ライセンス申請へどう移るかも計画しておくべきです。
顧客資産の保有・分別・出金はどう変わるか

まなぶ「「分別管理」なら、自分の暗号資産が専用ウォレットに一つずつ置かれるんですか?」
クリプ「必ずしもそうではないよ。共同のウォレットを使う場合もあるから、オンチェーン残高だけでなく、顧客別の帳簿が正確に結び付いているかが重要なんだ。」
顧客資産を識別し事業者資産と分ける
資産保有基準案は、顧客資産を識別し、事業者自身の資産や金銭と分けて管理する考え方を示します。狙いは、日常運用での混同を防ぎ、問題が起きたときに誰の資産かを追えるようにすることです。法的な保有構造も対象なので、単にウォレットのアドレスを分ければ終わりではありません。
事業者は、顧客が持つ権利、資産を保有する主体、倒産時の扱い、秘密鍵を管理する者を契約と実態の両面で確認します。利用者側は「分別管理」という短い宣伝文句だけでなく、規約やガイドに保有主体と出金条件がどう書かれているかを見る必要があります。
帳簿と実残高を照合し差異に対応する
照合は、社内の顧客別台帳と、ブロックチェーン上または保管先にある実残高が一致するかを確かめる作業です。入出金の反映遅れ、手数料処理、チェーンの再編、誤送付、システム障害があると差異が生じ得ます。基準案は照合だけでなく、差異が見つかった場合の対応も扱います。
有効な管理には、照合の頻度、許容しない差異、調査の責任者、是正期限、経営層への報告、証跡保存が必要です。自動照合を導入しても、例外を人が放置すれば意味がありません。複数チェーンや外部保管先を使う場合は、データ取得の停止も想定します。
第三者・オムニバス保管に伴う管理
第三者カストディを利用すれば、保管リスクが消えるわけではなく、委託先管理へ形を変えます。契約上の責任、秘密鍵管理、サイバー対策、再委託、障害時の連絡、破綻時の返還手続まで確認が必要です。
オムニバス保管は複数顧客の資産をまとめる方式です。運用効率を得られる一方、顧客別の持分は内部帳簿に依存します。ASICの過去の検討でも、顧客ごとの個別ウォレットだけでなく、条件付きの共同管理が規制設計の対象とされてきました。共同保管なら、帳簿の完全性と持分の追跡可能性がいっそう重要です。
顧客の出金権と記録・報告
出金権は、顧客がどの条件で資産の移転や返還を求められるかという実用上の核心です。本人確認、不正検知、ネットワーク混雑などで即時処理できない場面はあり得ますが、停止条件が曖昧なら顧客は資金へアクセスできる時期を判断できません。
事業者は通常時の手順に加え、障害、セキュリティ事故、ハードフォーク、保管先停止時の扱いを記録し、説明できる体制が必要です。利用者は最低出金額、手数料、処理時間、停止条項、問い合わせ経路を利用前に確認しましょう。
取引監視と決済ルールで求められること
利益相反とマーケットメーカーを管理する
プラットフォーム運営者が取引の場を提供しながら、自社または関係者がマーケットメーカーとして参加すると、利益相反が生じ得ます。顧客注文より有利な情報を使う、特定参加者を優遇する、価格形成へ不透明に関与するといった懸念です。
提案は、利益相反とマーケットメーカーの管理を取引基準の一部として扱います。実務では、役割分担、情報遮断、アクセス権、条件の開示、監視、例外承認を一体で設計する必要があります。「流動性を供給している」という目的だけで公正性の確認が不要になるわけではありません。
注文執行と市場監視の基準を整える
注文執行では、注文の受付順、価格、キャンセル、部分約定、システム障害時の扱いが利用者の結果を左右します。市場監視では、不自然な注文や取引パターンを検知し、調査・対応できる体制が問われます。
暗号資産は複数の市場で24時間取引されるため、自社画面だけを見ても状況を説明できない場合があります。それでも、自社のルールが一貫して適用され、記録から注文の経過を追えることは不可欠です。ASICは2026年の重点事項として、保管だけでなく市場の公正性や決済インフラも視野に入れています。
決済の確定時点・所要時間・失敗時対応を開示する
アプリに「約定済み」と表示されても、資産や金銭の移転が法的・技術的に確定したとは限りません。内部台帳の更新、銀行送金、ブロックチェーン承認、外部カストディの処理が別々の時点で進むためです。
取引・決済基準案は、決済の確定性、想定所要時間、失敗時の処理を顧客へ開示し、情報を更新する考え方を示しています。事業者は「どの状態を完了と呼ぶか」を定義し、画面表示と会計処理を合わせます。利用者は「即時取引」と「即時出金」を同じ意味だと思わず、各段階の条件を確認することが大切です。
自己資本・流動性など事業者の財務要件
まなぶ「クリプ先生、NTAの3案は何が違うんですか?」
クリプ「保管方法と事業の役割を、資本額へどこまで細かく反映するかが違うんだ。3案を同じデータで試算すると、自社への影響が見えやすいよ。」
資本・流動資産・資金繰り予測を求める理由
財務要件案は、顧客資産の裏付けとは別に、運営者自身が事業を続け、問題時に秩序立って対応できる資力を求めるものです。給与、システム、監査、事故対応、撤退作業には運営資金が要ります。顧客資産を運営費へ流用してはならないため、会社側の資力を別に見る必要があります。
会計上は資産があっても、すぐ支払いに使えなければ短期債務へ対応できません。そのため、資本額だけでなく流動資産や資金繰り予測が組み合わされます。事業者は平常時だけでなく、取引減少、出金増加、委託先障害などのストレス時も検討する必要があります。
純有形資産要件の3つのモデル案
CP 392は、NTA(純有形資産)について次の3案を提示しています。いずれも提案値で、閾値には消費者物価指数(CPI)による年次調整を想定しています。また、全裏付け資産を適格な第三者へ委託し、書面保証や監査報告などの条件を満たす場合は共通の軽減枠があります。
| モデル | 計算の考え方 | 主な相違と影響 |
|---|---|---|
| モデル1:伝統的カストディ整合型 | 第三者保管条件を満たさない場合、1,400万豪ドルまたは平均収益の10%の大きい方。条件を満たす場合は20万豪ドル、保有する平均裏付け資産の0.5%(上限700万豪ドル)、平均収益の10%を用いる案 | IDPS運営者とほぼ同じ水準で規制裁定を抑える。自己保管型や大規模事業者への固定負担が最も明確 |
| モデル2:非金融商品軽減型 | モデル1に加え、保有する裏付け資産が常に非金融商品のみなら、700万豪ドルまたは平均収益の10%の大きい方 | 非金融商品だけを扱う小規模事業者へ中間的な軽減を設ける |
| モデル3:活動別加算型 | 第三者保管条件を満たさない場合、200万豪ドル、平均裏付け資産の0.5%(上限1,400万豪ドル)、平均収益の10%の最大額に、代理50万、取引会場75万、自己勘定で顧客と取引100万豪ドルを役割に応じて加算 | 小規模事業者には段階的だが、保有額と業務類型の判定・継続計算が複雑になる |
事業者は同一の平均収益、平均裏付け資産、保管形態、業務類型を使って3案を並列試算し、最低額に接近する時期、増資所要期間、第三者保管条件を維持できない場合の差額まで確認します。現段階で採用案は決まっていないため、提案値を本番システムへ固定せず、計算根拠を差し替えられるようにします。
監査と報告で財務健全性を検証する
財務基準は自己申告だけで完結せず、監査と報告による検証も含みます。計算式が正しくても、元データが不完全なら結果は信頼できません。会計台帳、顧客資産台帳、ウォレット残高、銀行残高の境界を明確にし、再計算できる証跡を残す必要があります。
財務、法務、セキュリティ、プロダクトの各部署が別々に準備すると、同じ資産を違う定義で集計する危険があります。用語集とデータ責任者を決め、経営会議へ同じ指標を報告する体制が有効です。
財務対応の優先順位
先に着手できることは、会計台帳・顧客資産台帳・ウォレット残高・銀行残高の定義統一、平均収益と平均裏付け資産の再計算手順、資金繰りストレスの設計です。影響が大きいことは、自己保管か第三者保管か、代理・中立的取引会場・自己勘定取引のどれを担うかによるNTA差額です。
最終化を待つことは、採用モデル、最終的な閾値、報告様式への固定です。財務・法務・セキュリティ・プロダクトが同じ入力値を参照し、案が変わっても再計算できる管理表にしておけば、2027年3月予定の最終文書へ対応しやすくなります。
事業者が今確認すべきこと

影響が大きい順に対応を並べる
- 規制対象と認可:サービス名ではなく実際の機能からDAP・TCP該当性、既存AFS認可の範囲、小規模免除の条件を判定する。
- 顧客資産:保有主体、秘密鍵、分別、照合、第三者・再委託先、差異是正、出金停止を一つの資産フローで結ぶ。
- 取引・決済:利益相反、マーケットメーカー、注文履歴、市場監視、約定と決済確定の定義、失敗時処理を規則と画面へ反映する。
- 財務:3つのNTAモデル、流動資産、資金繰りを同じ基礎データで試算し、経営判断が必要な資本差額を出す。
ギャップごとに責任者、証拠資料、完了期限、最終文書で再確認する項目を付けます。制度部門だけの課題にせず、契約、財務、ウォレット、画面表示、サポート運用へ同じ変更管理番号を付けると不一致を追跡できます。
6項目の実行チェックリスト
- 文書の位置付け:成立法、規則、規制ガイド、意見募集案のどれかを記録したか
- 基準日:参照日と2026年11月27日、2027年4月8日、10月7日の工程を担当者が共有したか
- 契約法人:顧客との契約主体、豪州向け提供主体、入出金先を特定したか
- 秘密鍵管理者:自己保管、第三者保管、再委託の各主体と資産移転権限を図示したか
- 認可範囲:AFSライセンスの取得・変更・認可追加、小規模免除、AUSTRAC登録を別々に確認したか
- 出金条件:通常時と障害時の停止条件、承認者、処理時間、顧客説明を突き合わせたか
意見提出と申請・移行工程
CP 392への意見は「負担が大きい」という一般論で終えず、設問・条項、実際の業務場面、実装期間、初期費用と継続費用、競争や顧客保護への影響、代替案を一組にします。特にNTAは3案を同じデータで比較し、どの事業類型に急な資本増強が生じるかを数値で示すと論点が明確です。
ASICの工程では2027年3月に文書・ガイダンスを公表し、4月8日に申請受付を始め、既存事業者の移行申請期限を10月7日としています。最終化前は棚卸しと設計、最終化後は数値・様式の確定、受付開始後は申請提出という順に工程を分けます。INFO 225により既存法が適用され得るため、新制度開始まで現行対応を止めてよいわけではありません。
利用者向け:5つの確認点
ここからは豪州のサービスを使う一般利用者向けです。事業者向けの申請実務とは分け、利用前後に確認できる項目だけを5つに絞ります。
- 契約法人:アプリ名ではなく、利用規約にある法人名を確認する。
- 二つの制度:AUSTRACのVASP登録は主にAML/CTF、ASICのAFS認可は金融サービスの行為・開示を扱うため、片方で他方を代用しない。
- 保管:自己保管か第三者・オムニバス保管か、秘密鍵と顧客別台帳を誰が管理するかを見る。基本は暗号資産ウォレットの種類と選び方で確認できる。
- 出金:最低額、手数料、通常の処理時間、停止条件、事故時の連絡先を確認する。取引所の比較軸は暗号資産取引所の種類と選び方も参考になる。
- リスク:登録、認可、分別、自己資本要件は価格下落、ハッキング、秘密鍵喪失、第三者破綻、回収遅延の補償ではない。必要以上の資産を一社へ置かない。
ステーブルコインでも価格安定の仕組みとプラットフォームの保管リスクは別です。基礎はステーブルコインとは、他国制度との違いは英国ステーブルコイン規制の申請ガイドで確認できます。
主要出典と更新方針
数値・期限は二次解説ではなく、次の一次資料に対応させています。CP 392本体は意見募集文書、添付資料は予備的なドラフト、DAF法は成立法であり、同じ法的効力ではありません。最終確認日は2026年10月16日。ASICが最終文書、施行日、移行措置、数値基準の変更を公表した場合に更新します。編集部による制度解説で、個別案件の法務レビューは実施していません。
まとめ:CP 392は準備を具体化するための提案
CP 392は、成立済みのDigital Assets Framework法をAFS認可、顧客向け文書、資産保有、取引・決済、財務要件へ落とし込む提案です。事業者は11月27日までの意見提出を判断し、まず契約法人・秘密鍵・認可・資産フロー・出金・NTAを棚卸しします。
次に、2027年3月予定の最終文書で数値と様式を確定し、4月8日の申請受付開始から10月7日の移行申請期限までに新規・変更申請を進めます。提案の変更を追える責任者と更新台帳を今決めることが、次の具体的な行動です。