- Regulation Crypto Assetsは2026年10月20日に意見募集が締め切られるSECの規則案であり、まだ施行されていない
- 500万ドルの起業免除と、2,000万ドル・7,500万ドルの二段階の資金調達免除が提案されているが、いずれも対象・開示・報告などの条件がある
- 暗号資産全般を証券規制から外す案ではなく、非証券暗号資産に関係する一定の投資契約を扱う
- Form TRによる「出口」、州法先占、Howeyテストへの依存、投資家保護の水準は、最終化まで確認が必要な論点である
米国証券取引委員会(SEC)の「Regulation Crypto Assets」は、未完成の暗号資産プロジェクトが開発資金を集める道と、開発後に投資契約を終える道を一つの案にしたものです。小規模な一度限りの募集には500万ドル枠、より大きな募集には12カ月で2,000万ドルまたは7,500万ドルの枠を置き、完成後の出口にはForm TRを想定します。
2026年10月20日は制度開始日ではなく意見募集の締切日で、各ルートはまだ利用できません。発行者には現行制度と比べる準備表、市場関係者には審査点、投資家には開示の読み方を示します。以下は一般的な制度解説で、個別案件の法的・投資判断ではありません。
4つの募集ルートはどう違うか
選び方の出発点は調達額ではなく、開発段階、募集期間、投資家層、SEC・州の審査、募集後に負える報告コストです。提案された3ルートと現行の代表的な免除を横断すると、違いは次のように整理できます。
| ルート | 対象場面 | 上限・期間 | 審査 | 監査・継続報告 | 投資家制限 | 州法 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 起業免除案 | 初期の小規模開発 | 一度限り、4年間で総額500万ドル | 専用開示を前提とする軽量な経路 | Tier 2より軽い設計。財務情報の水準は争点 | 個人上限の有無・水準が争点 | 一定範囲を先占する案 |
| Tier 1案 | 起業枠を超える比較的小規模な募集 | 12カ月で2,000万ドル | 暗号資産向け募集書類を用いる | Tier 2より軽い | 対象買い手と販売条件を確認 | 州審査との関係が選択上の焦点 |
| Tier 2案 | 全米規模の大型募集 | 12カ月で7,500万ドル | SECの資格審査 | 監査済み財務諸表と継続報告 | 非適格投資家の投資上限 | 一定の登録・資格要件を先占する案 |
| 既存免除 | Regulation D・A・Crowdfundingなどに合う募集 | 制度ごとに異なる | 制度ごとに届出・資格審査等 | 制度ごとに異なる | 適格投資家限定、投資上限等があり得る | 連邦・州ルールを制度別に確認 |
起業免除は小さく始める代わりに一度限り、Tier 1は調達額と負担の中間、Tier 2は最大額と引き換えに審査・監査・継続報告が重い、という関係です。既存免除が投資家層や時期に合うなら、新制度を選ぶ必然性はありません。表の要件は提案段階の大枠で、最終条文が優先します。
Regulation Crypto Assetsは未施行の提案
最初に押さえたいのは、Regulation Crypto Assetsが最終規則ではないことです。SECは2026年8月18日に提案を公表し、連邦官報に掲載された規則文について10月20日まで意見を受け付けています。公開コメントの台帳には、法律事務所、暗号資産関連企業、研究者、個人などからの意見や、SECスタッフと市場参加者の面談記録が掲載されています。
規則案には具体的な条文、提出書式、費用便益分析が含まれますが、詳しく書かれていることと、すでに効力があることは別です。締切後にSECがコメントを検討し、修正した最終規則を採択する可能性はあります。しかし、採択するか、いつ採択するか、どの条項を残すかは、記事公開時点では確定していません。
2026年10月20日は意見募集の締切日
時系列で見ると誤解を避けやすくなります。8月18日はSECによる提案日、8月21日は連邦官報の掲載日、10月20日は意見提出の期限です。10月14日にはAuditchain Labsとの面談記録があり、10月15日、16日にもコメントが提出されています。つまり締切直前まで、制度の使い勝手や投資家保護をめぐる材料が追加されていた段階です。
「意見募集が終わった」という表現は「規則が成立した」という意味ではありません。SECは寄せられた意見に同意するとは限らず、提出者の主張もSECの確定見解ではありません。支持意見、修正要求、撤回要求を区別し、誰がどの立場から述べたのかを見る必要があります。
上限額や要件は最終規則で変わり得る
500万ドル、2,000万ドル、7,500万ドルという金額、対象となる発行者、必要な開示、Form TRの要件、発効日は、最終規則で変更される可能性があります。現時点で提案された免除を利用して募集を始めたり、Form TRを提出して投資契約の終了を確定させたりすることはできません。
実務では、提案文を将来準備のチェックリストとして使いつつ、現行法に基づく判断を続ける姿勢が必要です。「SECが提案したから適法」「書式を出せば承認済み」という読み替えはできません。最終規則が出た場合も、採択日、発効日、遵守期限は別々に確認します。
規則案の対象は暗号資産全般ではない
まなぶ「クリプ先生、暗号資産が全部“証券ではない”扱いになる案なんですか?」
クリプ「そうではないよ。非証券暗号資産そのものと、その販売に結び付く投資契約を分けて考える提案なんだ。」
この提案を理解する鍵は、「暗号資産」と「暗号資産に関係する投資契約」を同じものとして扱わないことです。提案の対象は、非証券暗号資産に関係する一定のcovered investment contractです。暗号資産の種類を丸ごと包括免除する規則ではなく、契約や取引の構成に応じて適用を考える枠組みです。
ここからは架空の「ミライネット社」を通し事例にします。同社は未完成ネットワークのトークンを売り、調達資金でコードを完成させ、利用者を増やすと説明しました。買い手が同社の開発努力による価値向上を期待するなら、売られたトークンそのものとは別に、同社と買い手の約束が投資契約として問題になります。これがcovered investment contractを考える具体的な場面です。
ミライネット社が少額で試作するなら500万ドルの起業免除案、12カ月でより多く集めるならTier 1またはTier 2案を比較します。ネットワーク完成後は、募集時に約束した重要な経営努力が終わったかを記録し、条件を満たすならForm TRによる出口を検討します。同じ主体を入口から出口まで追うと、募集免除と投資契約終了が別の手続きであることが分かります。
対象は一定のcovered investment contract
covered investment contractに当たるかは、提案された免除へ進む入口です。提案は、対象となる投資契約を通じて非証券暗号資産を提供・販売する場面に、専用の開示や報告の仕組みを用意しようとしています。他の種類の証券にそのまま使える免除ではありません。
ここで「covered」という言葉だけを見て広く解釈するのは危険です。発行主体の適格性、関連する暗号資産の性質、契約関係、除外条件などを条文に沿って確認する必要があります。提案が最終化されても、対象該当性の事実確認は発行者、取引所、助言者などに残ります。
Howeyテストによる判断は残る
Regulation Crypto Assetsは、米国で投資契約を判断するHoweyテストを廃止する提案ではありません。一般に、資金の投資、共同事業、他者の努力から得られる利益への合理的期待といった要素を、具体的な事実に当てはめます。提案が専用ルートを作っても、そもそも対象の投資契約かという入口の判断は残ります。
このため、プロジェクトが「ユーティリティトークン」と呼んでいることや、ブロックチェーン上で動くことだけでは結論は出ません。マーケティングで何を約束したか、買い手が何に期待したか、開発や運営を誰に依存するかなどを総合的に確認します。関連する基礎はSEC暗号資産FAQのトークン分類でも整理しています。
500万ドルの起業免除案は何を変えるか

起業免除案は、小規模な暗号資産プロジェクトが開発初期に資金を集めるための専用経路です。同一または実質的に類似する暗号資産について、一度限り、4年間、総額500万ドルという枠が提案されています。「毎年500万ドル」でも、「複数の関連トークンごとに500万ドル」でもない点が重要です。
狙いは、既存の登録や免除が初期プロジェクトに重すぎるという問題へ対応しつつ、暗号資産固有の情報を買い手に示すことです。ただし、規模が小さいことはリスクが小さいことを意味しません。開発未完了、流動性不足、ガバナンスの集中、サイバーセキュリティ、トークノミクスの変更など、初期段階特有の不確実性があります。
一度限り・4年間・総額500万ドルが上限
「一度限り」は、繰り返し利用して通常の登録制度を恒常的に避けるための道ではないことを示します。「4年間」は免除の対象となる募集・開発の時間軸に関係し、「総額500万ドル」はその枠内での上限です。具体的な集計方法や類似資産の範囲は、最終条文とSECの説明を確認しなければなりません。
上限に届かなければ自動的に適法になるわけでもありません。対象となる契約か、発行者が条件を満たすか、必要な情報を提供したか、禁止される関係者が関与していないかなど、複数の条件を合わせて判断します。さらに、免除は価格上昇、プロジェクト完成、換金可能性を保証しません。
小規模事業者にも暗号資産固有の開示が必要
提案は、ネットワークの仕組み、開発計画、資金使途、発行・配布の設計、トークノミクス、関係者の保有や役割など、暗号資産に固有の情報を原則ベースで開示することを想定しています。従来の企業向け書式だけでは、コード、ネットワーク統治、供給設計といった情報が十分に表れないという問題意識があります。
原則ベースの利点は、技術や事業モデルの違いに対応しやすいことです。一方、「重要な情報を出す」という抽象的な要求だけでは、小規模事業者がどこまで書けばよいか判断しにくく、案件間の比較も難しくなります。Brainsyのコメントは、小規模事業者が実際に履行できる開示粒度と、明確な適用条件の重要性を示しています。
財務諸表・投資上限・州審査の代替性が争点
起業免除への批判では、財務諸表や個人投資上限をどこまで求めるか、州による審査を連邦の開示で十分に代替できるかが問題になります。LXR Groupは、投資家保護や州審査の先占などを理由に撤回を求めました。これはSECの結論ではなく、公開コメント提出者の反対意見です。
負担を軽くしすぎれば、買い手が資金状態や失敗可能性を判断する材料が不足します。反対に、監査や継続報告を大型募集と同じ水準で求めれば、500万ドル規模の枠を設ける意味が薄れる可能性があります。最終規則では、開示の有用性、作成費用、投資家属性、販売方法をどう組み合わせるかが焦点です。
2,000万ドル・7,500万ドルの資金調達免除案
もう一つは、Regulation Aを参考にした二段階の資金調達免除案です。Tier 1は12カ月で最大2,000万ドル、Tier 2は12カ月で最大7,500万ドルとされています。起業免除より大きな資金調達を想定する一方で、上位Tierほど手続きや投資家保護の要求が重くなる構造です。
7,500万ドルという数字だけが注目されやすいものの、それはSECが価値を認めたプロジェクトに与える枠ではありません。対象契約、発行者適格性、開示、審査、報告などの要件を満たす場合に利用を検討できる上限案です。募集が完了しても暗号資産の市場価格や二次流通は保証されません。
Tier 1は2,000万ドル、Tier 2は7,500万ドル
| 項目 | Tier 1案 | Tier 2案 |
|---|---|---|
| 12カ月の上限 | 2,000万ドル | 7,500万ドル |
| 位置付け | 比較的小規模な募集 | より大型の募集 |
| 確認の重点 | 開示と州法との関係 | SEC資格審査、監査、継続報告、投資上限など |
この表は提案の大枠を比較したもので、条件をすべて代替するものではありません。実際の利用可否は、条文上の定義、募集の統合、過去の販売、関連当事者、投資家区分などを含めて検討します。ドル建て上限だけでTierを選ぶと、準備期間や継続負担を見落とします。
資格審査・監査・継続報告・投資上限は条件で異なる
まなぶ「7,500万ドルまでなら、届け出だけで集められるということですか?」
クリプ「上限は利用条件の一つにすぎないよ。TierによってSECの資格審査、監査済み財務諸表、継続報告、投資上限などを確認するんだ。」
上限が大きいTier 2では、より強い開示と継続的な説明責任が想定されます。SECによる資格審査があっても、それは募集書類が手続き上の要件を満たすかを見るもので、投資価値や安全性の推薦ではありません。監査済み財務諸表も重要な材料ですが、コードの欠陥や市場流動性まで保証するものではありません。
非適格投資家に対する投資上限は、損失が生活へ与える影響を抑えるための仕組みに関係します。誰を適格投資家として扱うか、どの金額を基準にするか、販売側が何を確認するかは実務に直結します。最終規則では、書式名だけでなく提出前後の義務と更新頻度を読みます。
既存免除との併用可能性と使い分け
提案された制度は、Regulation D、Regulation A、Regulation Crowdfundingなど既存の資金調達経路を全面的に置き換えるものではなく、非排他的な制度として構想されています。案件によっては既存免除の方が投資家層、調達時期、情報開示、転売制限に合う可能性があります。
ただし、「併用できる可能性がある」と「各上限を単純に足せる」は同じではありません。近接する募集が一つに統合されるか、同じ投資家への勧誘が各制度の条件と整合するかを確認します。個別案件では米国証券法に詳しい専門家への確認が必要です。
投資契約を終えるセーフハーバーとForm TR

規則案のもう一つの柱が、投資契約の終了を扱うRule 400案です。開発主体が約束した重要な経営努力を完了した、または永久に停止した場合に、一定の条件の下で投資契約が終わったと扱うためのセーフハーバーを設けます。ここでも、暗号資産そのものと、それを販売したときの契約関係を分ける考え方が中心です。
セーフハーバーは、要件を満たす行為に一定の法的保護や予測可能性を与える枠組みです。「safe」という名称でも、資産価格、技術、安全性を保証する制度ではありません。出口の条件を満たしたかが事実に左右される以上、後から判断が争われる余地もあります。
重要な経営努力の完了・永久停止が出口の前提
ネットワークの立ち上げや機能実装を約束して資金を集めた場合、その約束を支える重要な経営努力が投資契約性の中心になり得ます。Rule 400案は、その努力が完了したか、永久に停止したことを出口の前提にします。単に開発速度が落ちた、担当者が変わった、一部機能を公開したというだけで自動的に該当するとは限りません。
「完了」と「永久停止」は方向が異なります。完了は約束した重要作業を果たした状態、永久停止は今後その努力を行わない状態を想定します。どちらも、過去の説明、ロードマップ、コード、運営権限、更新能力などとの整合を記録する必要があります。
Form TRは法的地位の自動確定ではない
Form TRは、条件を満たしたという発行者側の分析を公示するための想定書式です。提出した事実だけで、暗号資産の法的地位が誰に対しても争えなくなるわけではありません。SEC、裁判所、民事訴訟の当事者が、前提事実や分析の妥当性を問題にする可能性があります。
したがって、Form TRを単なる終了通知として扱うのではなく、どの努力を約束し、何をもって完了・永久停止と評価し、残る主体がどんな権限を持つかを説明する記録として考える必要があります。関連する考え方はSEC暗号資産FAQの投資契約が終わる条件も参考になります。
取引所など第三者の依拠可能性が課題
Davis Polkのコメントは、公開された提出記録を取引所などの第三者が合理的に信頼できる仕組みを求めています。発行者がForm TRを提出しても、取引所が同じ事実を一から調査し、独自に法的結論を出さなければならないなら、二次市場の予測可能性は十分に高まりません。
一方、提出内容に誤りがある場合まで第三者が無条件に依拠できる設計では、投資家保護が弱くなり得ます。合理的な確認をどこまで求めるか、明白な矛盾を見つけた場合にどうするか、後の変化を誰が監視するかが、最終化に向けた具体的な論点です。
州法先占と投資家保護は両立するか
提案には、一定の募集と二次取引について、州の登録・資格要件を連邦ルールが先占する仕組みが含まれます。州ごとに異なる登録手続きを減らせれば、全米で募集や流通を行う負担を抑えられる可能性があります。しかし、どこまで先占できるか、その法的根拠が十分かは意見が分かれています。
州法先占は「州のルールがすべて消える」という意味ではありません。特に反詐欺の権限まで一律に失われるわけではなく、虚偽説明や重要事実の欠落があれば責任が問題になります。連邦の免除と州の執行権限を分けて読む必要があります。
一定の募集と二次取引で州登録を先占する案
提案は一定の買い手の定義などを通じ、対象募集と関連する二次取引について州登録を先占し得る構造を示します。発行者にとっては、複数州で同じ内容を別々に審査・登録する負担を減らす可能性があります。市場参加者にとっては、取引ごとに州の位置を意識する複雑さを軽減する狙いがあります。
ただし、対象外の取引、一般的な事業規制、州の反詐欺法まで同じ結論になるとは限りません。誰が対象となる買い手か、転売時にどの条件が続くか、連邦法上の情報提供義務が何かを確認しなければ、先占の範囲を判断できません。
州審査の代替と法的権限に異論
批判側は、州の実質的な審査を外すなら、連邦制度が同等以上の投資家保護を提供する必要があると考えます。また、SECがこの範囲の先占や免除を設ける法的権限を持つか、将来の司法審査や政策変更に耐えられるかも論点です。Shadow SECのコメントは、権限、投資家保護、bad actor移行、州法先占などから提案を批判しています。
制度を利用する側は、最終規則が採択された場合でも、訴訟や改正可能性をゼロとみなせません。契約で規制変更時の対応を定め、販売地域と投資家属性を記録し、州法上残る義務を確認することが重要です。
免除後も反詐欺責任と私訴リスクは残る
募集免除を使っても、反詐欺・反市場操作規定は適用されます。発行者が技術の完成度、提携、資金使途、流動性、収益可能性について誤解を招く説明をすれば、SECの執行だけでなく民事訴訟の争点になり得ます。Skaddenは、発行者の説明や約束が私訴リスクにつながる点を指摘しています。
SECへの提出や資格審査は「お墨付き」ではありません。投資家は、提出済みという表示だけでなく、何が開示され、何が未確定かを読む必要があります。発行者は、広告、SNS、ホワイトペーパー、募集書類の表現を一致させ、変更があれば更新履歴を残す必要があります。
最終規則で比べる差分と影響
前節までの論点をもう一度説明するのではなく、最終文が出たときの比較作業に変換します。変更の有無、影響を受ける主体、次の行動を同じ行で確認してください。
| 提案文から比べる項目 | 変更された場合の影響 | 主な確認主体 |
|---|---|---|
| covered investment contractの定義、Howey判断、客観的な機能性・非支配基準 | 入口で対象になる案件と、必要な技術証拠が変わる | 発行者、法律顧問、取引所 |
| 500万・2,000万・7,500万ドルの上限、集計期間、募集の統合 | 調達計画、既存免除との使い分け、募集時期が変わる | 発行者、会計・法務担当 |
| 財務諸表、監査、個人投資上限、bad actor条項 | 準備費用と投資家保護の水準、参加できる買い手が変わる | 発行者、投資家 |
| Form TRの条件と第三者の合理的依拠 | 出口の証拠、上場・取扱審査の負担が変わる | 発行者、取引所、カストディ事業者 |
| 州法先占の対象取引と残る州権限 | 州別の登録費用、販売地域、訴訟・執行リスクが変わる | 発行者、州規制当局、市場関係者 |
| 発効日、経過措置、議会立法との関係 | 準備開始日と現行制度からの移行方法が変わる | 全主体 |
Ava Labsは、コードの稼働状況、管理鍵、検証者構成などで機能性と非支配を判断する客観基準を提案しました。Davis Polkは、取引所などがForm TRへ合理的に依拠できる設計を求めています。いずれも提出者の提案であり、最終規則の内容ではありません。LXR Groupなどの反対意見は、軽量な開示と州審査の縮小が投資家保護を弱めるとみます。最終文では、どの意見が条文に反映されたかを追います。
まなぶ「この規則が成立すれば、米国の暗号資産ルールは全部決まるんですか?」
クリプ「この案は発行と投資契約の出口が中心だよ。取引市場や仲介、カストディまで全部を決めるものではなく、議会立法や別のルールも関係するんだ。」
市場構造全体はこの提案の外に残ります。取引市場、仲介業者、清算、カストディ、商品規制との境界は別途追う必要があり、米国の法案動向はCLARITY法案の審議状況でも確認できます。
発行者・市場関係者・投資家の確認リスト
発行者が準備すること
- 販売時の約束、過去の販売、同一・類似資産を整理し、covered investment contractへの該当性を分析する
- 起業免除、Tier 1、Tier 2、既存免除を、金額だけでなく期間・投資家層・審査・監査・報告・州法で比べる
- コード、管理鍵、検証者、資金使途、関係者保有、トークノミクスを事実・将来計画・法的評価に分けて記録する
- 広告、SNS、ホワイトペーパー、募集書類を一致させ、変更日と判断者を残す
- Form TRを見据え、募集時に約束した重要な経営努力と完了を示す証拠を保存する
取引所など市場関係者が確認すること
- Form TRの有無に加え、対象資産、提出日、分析の前提、残存権限、反対情報を審査する
- 最終規則が第三者依拠を認める範囲と、独自調査が必要な範囲を手順書へ反映する
- 証券法上の扱いと、マネーロンダリング対策、制裁、カストディ等の別義務を混同しない
投資家が読むこと
- SEC提出や資格審査を投資価値の承認と受け取らず、開発段階、資金使途、関係者保有を読む
- 売却可能性、非適格投資家の上限、州法、虚偽説明に対する救済を確認する
- 価格上昇や完成を前提にせず、失っても生活に影響しない範囲かを自分の状況で判断する
全員に共通する差分は、上限と期間、対象契約、必要書式、監査・継続報告、投資家上限、Form TR、州法先占、発効日です。最終規則が公表されたら、ニュースの数字だけでなく採択文と公式ファクトシートを基準に更新します。
まとめ:金額より「対象・条件・未確定点」を読む
Regulation Crypto Assetsは、小規模向けの500万ドル起業免除、2,000万ドルと7,500万ドルの二段階免除、投資契約の終了を扱うRule 400とForm TR、一定の州法先占を提案しています。発行者には開発段階に応じた選択肢が増える一方、上位ルートほど審査・監査・報告が重く、投資家と市場関係者には開示と出口の前提を読む作業が残ります。
2026年10月20日時点では未施行です。最終規則が出たら、誰が、どの契約について、どのルートを使い、どんな開示と責任を負うのかを比較表に戻って確認してください。次の節目は、SECによる最終規則の採択、発効日、遵守期限の公表です。