ロシア中央銀行は2026年10月6日、暗号資産交換業者4社とデジタル保管業者5社を初めて登録しました。個人利用者には購入条件があり、2027年7月には取引・移転経路も変わります。登録は安全性や国外での適法性まで保証するものではありません。
- 何が始まったか:初回登録9枠(重複1社、実数8社)が制度上の業務を開始しました。
- 誰に影響するか:ロシアの居住者、とくに非適格投資家は試験・購入上限・移転先を確認する必要があります。
- この記事で分かること:登録社名、区分、2027年7月と9月の違い、国内決済と制裁の確認方法です。
以下では個人利用者に必要な順に、初回登録社、交換と保管の違い、購入条件、2027年の変更、国内決済、制裁を整理します。本稿は制度の一般的な解説であり、特定の取引を勧めるものではありません。
ロシアで初の暗号資産交換・保管事業者が登録
ロシア中央銀行は2026年10月6日、初のデジタル保管業者5社と暗号資産交換業者4社を金融市場へ受け入れたと公表しました。法律だけが先に存在する段階から、登録された事業者が制度上の業務を始める段階へ進んだ出来事です。登録日から、対象事業者には暗号資産の取引や記録に関する規則が適用されます。
初回登録は交換業者4社・デジタル保管業者5社
2026年10月20日版の公式登録簿で、10月6日に権利が発生した初回登録分を照合すると次のとおりです。登録は9枠ですが、VTB銀行が両区分に入るため法人の実数は8社です。
| 登録区分 | 正式名称(日本語表記/登録簿の略称) | 初回登録日 |
|---|---|---|
| 交換業者 | VTB銀行(Bank VTB (PJSC)) | 2026年10月6日 |
| 交換業者 | T-Invest Lab(LLC T-INVEST LAB) | 2026年10月6日 |
| 交換業者 | Zefir(LLC ZEFIR) | 2026年10月6日 |
| 交換業者 | Sistema-Crypto(LLC SISTEMA-CRYPTO) | 2026年10月6日 |
| デジタル保管業者 | VTB銀行(Bank VTB (PJSC)) | 2026年10月6日 |
| デジタル保管業者 | Sberbank(PJSC Sberbank) | 2026年10月6日 |
| デジタル保管業者 | Vaultary(JSC VAULTARY) | 2026年10月6日 |
| デジタル保管業者 | Atomyze(LLC ATOMYZE) | 2026年10月6日 |
| デジタル保管業者 | Cloud Infrastructure(LLC CLOUD INFRASTRUCTURE) | 2026年10月6日 |
表は初回登録分であり、10月20日時点の全登録社一覧ではありません。ブランド表記だけでなく、公式登録簿の法人名・OGRN・INNと契約主体を照合してください。
登録・審査規則は10月5日に発効
登録に関する規則は、ロシア法務省での登録を経て2026年10月5日に発効しました。中央銀行の説明では、交換業者、デジタル保管業者、情報システム運営者について、申請手続、役員要件、既存事業者向けの簡易手続などが用意されています。翌6日に最初の登録が公表されたため、制度の発効日と初回登録日を混同しないようにしましょう。
最新状況はロシア中央銀行の公式登録簿で確認する
登録状況は固定ではありません。新規登録、登録情報の更新、取消しなどが起こり得るため、過去の記事や事業者自身の広告だけでなく、ロシア中央銀行の公式登録簿を確認します。調査資料が参照した登録簿は2026年10月20日時点で更新されていますが、実際に利用する日には改めて最新表示を確かめるべきです。
確認するときは、事業者の正式名称、登録区分、登録状態、更新日を控えます。似た名称のウェブサイトや関連会社を本体と取り違えないため、公式登録簿から示される情報と、契約画面に表示される法人名を照合してください。登録番号が表示されていても、別法人の番号を流用した表示でないかを見る姿勢が必要です。
交換業者とデジタル保管業者は何が違うのか
まなぶ「クリプ先生、交換業者に登録されていれば、預けた暗号資産の保管も全部任せられるんですか?」
クリプ「同じとは限らないよ。売買を担う登録と、記録・移転・アドレスへのアクセスを担う登録は別だから、使う機能ごとに区分を確かめよう。」
初心者が最初につまずきやすいのが、「交換」と「保管」を一つのサービスだと捉えてしまう点です。利用画面では売買と残高表示が一体に見えても、制度上は別の機能として整理されています。どの法人が売買の相手となり、どの法人が資産の記録と移転を担うのかを確認することで、障害や紛争が起きた際の問い合わせ先も明確になります。
交換業者は自己名義・自己勘定で店頭売買を行う
中央銀行の公式ナビゲーターによると、暗号資産交換業者は、組織取引の外で自己名義・自己勘定により暗号資産を売買する制度上の主体です。利用者同士の注文を単に並べる場と同じとは限らず、交換業者自身が取引の相手方になる形を理解する必要があります。
たとえば交換業者が「1 BTCを提示額で売る」場合、利用者の相手方はその交換業者です。一方、板取引は利用者の買い注文と別の参加者の売り注文を突き合わせます。価格の決まり方と相手方が異なるため、提示価格、手数料、スプレッド、成立条件を確認してください。一般的な区分は暗号資産交換所の種類と選び方でも整理しています。
保管業者は資産の記録・移転とアドレスへのアクセスを担う

デジタル保管業者は、暗号資産の記録と移転、識別アドレスへのアクセス提供を担います。一般的な言葉に置き換えると、誰の資産として記録するか、移転をどう処理するか、ブロックチェーン上のアドレスを利用する権限をどう提供するかに関わる役割です。ただし、具体的な秘密鍵の管理方法や障害時の復旧方法は、各社の契約や技術構成を見なければ分かりません。
保管を利用する前には、出庫条件、本人確認、障害時の連絡経路、資産の分別記録、対応ネットワークを確認します。同じ銘柄名でも異なるネットワーク上に発行されている場合があり、誤ったネットワークへの送付は回復できないことがあります。登録区分は確認の出発点であり、運用上の安全策を省略できる理由にはなりません。
利用目的に応じて確認すべき登録区分
購入だけなら交換業務、長期保管や送金まで行うなら保管・移転業務も関係します。一つの企業グループが複数機能を提供していても、契約主体が機能ごとに分かれることがあります。「ブランド名」ではなく、売買、法定通貨入出金、暗号資産保管、外部送付の各場面で誰と契約するのかを表にすると整理しやすくなります。
なお、保管サービスを使うことは、価格下落リスクをなくすことではありません。反対に自己管理を選べば、事業者破綻への依存は減る一方、秘密鍵の紛失や詐取を自分で防ぐ必要があります。ただし後述するように、ロシアの新制度では一般居住者の自己管理ウォレットへの移転が制限されるため、従来の一般論だけで保管方法を決められません。
個人利用者に適用される購入ルール

個人が登録事業者を見つけても、誰でも同じ条件で、すべての暗号資産を無制限に購入できるわけではありません。ロシアの枠組みでは投資家区分が重要で、特に非適格投資家には事前試験、購入上限、対象銘柄の範囲が関係します。口座開設ができることと、希望する取引が認められることを分けて確認しましょう。
非適格投資家には事前試験が必要
中央銀行の説明では、非適格投資家が暗号資産を購入するには試験が必要です。試験は価格上昇を予測するものではなく、商品性やリスクを理解しているか確認するための手続と考えられます。試験に通過したとしても、損失が補償されるわけではなく、暗号資産の価格変動や技術リスクは残ります。
自分がどの投資家区分に当たるかは、事業者の画面表示だけで推測せず、適用条件と必要書類を確認します。居住地、資格、取引経験など、区分の判定に用いられる情報が変われば扱いも変わり得ます。複数の事業者を使う場合も、それぞれの本人確認と区分判定がどう行われるかを確かめてください。
購入上限は仲介者1社につき年30万ルーブル
非適格投資家の購入上限は、仲介者1社につき年間30万ルーブルとされています。この表現では「一人につき市場全体で30万ルーブル」ではなく、「仲介者1社につき」という単位が重要です。ただし、複数社を使って上限を広げる行為が他の規定や事業者の管理上どう扱われるかは、個別の規則と利用条件を確認する必要があります。
上限は損失を防ぐ安全装置ではありません。上限内でも、価格が大きく下がれば損失が発生します。また、年の途中で売却した場合に購入枠をどう数えるか、手数料を含むか、交換やデリバティブをどう扱うかなど、実務上の計算方法はサービスの説明を確認してください。上限額だけを覚えず、期間・対象・算定単位をセットで見ることが大切です。
対象銘柄や信用取引には規則案を含む点に注意
非適格投資家向けの公開取引対象について、中央銀行は時価総額、平均取引量、5年以上の価格履歴を基準に、BTC、ETH、USDTを対象とする案を示しています。ただし、調査資料では「規則案」と位置づけられています。案に名前があることと、最終規則のもとで実際に購入できることは同じではありません。
信用取引や空売りについても規則案が公表されています。レバレッジを使う取引では、現物購入より損失が拡大しやすく、追加証拠金や強制決済が起こり得ます。本記事は制度の全体像を説明するもので、こうした取引を推奨しません。利用を検討する場合は、最終規則の有無と事業者のリスク説明を確認し、現物の購入上限と別の条件が重なる可能性を考慮してください。
2027年から変わる取引・送金・保管の範囲
まなぶ「クリプ先生、自分の秘密鍵で管理するウォレットなら、登録制度とは関係なく自由に送れるんですよね?」
クリプ「ロシアの一般居住者については、2027年7月以降の原則が違うんだ。登録仲介者経由になり、個人間や自己管理先への移転は認められないと公式資料に示されているよ。」
ロシア中央銀行の公式FAQが示す2027年7月の境界は、次のように分けると誤読を避けられます。
| 項目 | 確認できた内容 |
|---|---|
| 対象者 | 2027年7月1日以降、暗号資産流通を組織する者ではない「居住者」。国籍だけで決めず、法令上の居住者該当性を確認する。 |
| 対象行為 | 暗号資産の取引・操作は原則として認定主体を通じるか、その主体との間で行う。P2P取引は同日以降、許容行為に含まれない。 |
| 自己管理先 | 個人がデジタル口座から自分の非カストディアル(事業者が鍵を預からない)ウォレットへ移すことは認められない。 |
| 確認できる経路 | 中央銀行FAQは、ブローカーと登録交換業者を認定主体の例として挙げる。 |
| 未確定・要個別確認 | 施行前から自己管理している残高の保有・処分、外国人や非居住者への具体的適用、個別の例外と手続は、今回のFAQだけでは断定できない。 |
一般居住者の取引は原則として登録仲介者経由に
登録仲介者を経由する仕組みは、本人確認、取引記録、利用者区分、購入上限などを制度内で管理しやすくします。一方、利用者は仲介者の対応時間、取扱銘柄、手数料、システム障害、出庫方針に影響されます。ブロックチェーンが24時間動いていても、仲介者が常にすべての操作を受け付けるとは限りません。
「原則」という表現がある場合、例外の対象と条件を本文で確かめる必要があります。事業者、適格投資家、外国貿易、採掘など、一般個人とは異なる扱いが存在する可能性があります。自分に都合のよい例外を類推するのではなく、利用者属性、取引目的、資産の移転経路を根拠規定に当てはめてください。
個人間移転と自己管理ウォレットへの移転は不可
P2P取引は、仲介者を介さず個人同士で暗号資産を交換・移転する形です。自己管理ウォレットは、利用者自身が秘密鍵を管理するウォレットを指します。公式資料に示された制限が適用されると、取引所で購入した暗号資産を知人へ直接送ることや、自分のハードウェアウォレットへ移すことが制度上認められない場面が生じます。
ここでは、単にウォレットアプリが送信ボタンを表示するかではなく、仲介者が出庫を受け付けるか、送付先をどのように確認するかが重要です。誤って制限対象の移転を試みると、処理拒否、口座確認、追加資料の提出などが発生する可能性があります。実行前に、事業者の最新の出庫ルールと送付先区分を確認してください。
カストディ集中と資産移動性への影響
自己管理先へ移せない場合、資産は登録された保管インフラへ集中しやすくなります。監督と記録を効かせやすい反面、一つの事業者やシステムの障害が多くの利用者へ影響する集中リスクが高まる可能性があります。利用者にとっても、秘密鍵を自分で保管するリスクから、事業者の運用・財務・技術に依存するリスクへ重心が移ります。
移動性の制限は、価格だけでは見えない重要な条件です。売買できても、希望する相手やウォレットへ移せないなら、暗号資産の使い方は大きく限られます。購入前に「どこで買えるか」だけでなく、「購入後にどこへ移せるか」「事業者が停止した場合にどうなるか」を確認しましょう。一般的なウォレットの仕組みは仮想通貨ウォレットの種類と選び方でも整理していますが、ロシアの制度適用下では現地規則を優先して確認してください。
経過措置は2027年7月と9月の期限を分けて確認
調査資料には2027年7月1日と9月1日という二つの節目が示されています。日付が複数あるのは矛盾とは限らず、利用者の取引ルールと、既存事業者が全面的に要件へ適合する期限が異なるためです。「2027年から変わる」と一括りにせず、誰に対する何の義務かを確認しましょう。
利用者ルールは2027年7月以降が節目
中央銀行の公式ポータルでは、2027年7月以降、一般居住者の取引を登録仲介者経由とし、個人間移転や自己管理ウォレットへの移転を認めない原則が示されています。利用者にとっては、取引経路と出庫先が変わる節目です。現在利用できる機能が、同じ条件のまま継続するとは限りません。
移行前に慌てて資金を動かすことも安全とは限りません。送付先を誤る、詐欺の移行案内に従う、税務・制裁・本人確認上の問題を見落とすおそれがあります。事業者の公式案内、中央銀行の公式ポータル、適用される法令を確認し、不明な場合は資格のある専門家へ相談してください。
登録事業者の全面適合期限は2027年9月1日
初回登録に関する中央銀行の公表では、事業者は2027年9月1日までに規制要件へ全面適合する必要があるとされています。これは、登録直後からすべての移行作業が完了しているという意味ではありません。経過期間中には、システム、規程、資本、記録、利用者対応などが段階的に整備される可能性があります。
利用者は、経過期間中の登録を「要件を永久に満たした証明」と解釈せず、サービスごとの移行案内を読みます。取引停止、入出庫の受付時間、契約主体の変更、本人確認の再実施などが発生する場合に備え、取引履歴や残高の記録を自分でも保管しておくと確認しやすくなります。
日付だけでなく対象義務と根拠規定を照合する
ニュースでは日付だけが強調されがちですが、法的な判断には「誰が」「何を」「いつまでに」の三点が欠かせません。7月1日は利用者側の経路制限、9月1日は事業者側の全面適合期限というように、対象を横に並べて確認します。ロシア語原文と英語資料では用語の訳し方が異なる場合もあるため、重要な契約や業務判断では原文と専門家の確認が必要です。
また、一部の自己資本、対象銘柄、信用取引に関する資料は規則案です。最終規則では内容や発効日が変わる可能性があります。公開日が新しい資料を優先しつつ、案、成立済み法令、施行済み規則、当局FAQを区別して記録してください。
暗号資産によるロシア国内決済は原則禁止
まなぶ「クリプ先生、登録交換業者で買えるなら、ロシアのお店でも暗号資産で払えるようになったんですか?」
クリプ「そこは別なんだ。売買の市場が整っても、国内の商品やサービスの代金に使うことは原則禁止のままだよ。」
登録市場の始動は、暗号資産がロシア国内で一般的な決済手段として解禁されたことを意味しません。調査資料が参照する連邦法282-FZでは、国内の商品やサービスに対する代金支払いは原則として禁止が続きます。「保有できる」「売買できる」「送金できる」「代金として使える」は、それぞれ別の法的行為です。
一般の商品・サービスの代金支払いは禁止が継続
店舗での商品購入、サービス利用料、一般的な商取引の代金を暗号資産で支払う行為は、登録業者が存在することだけでは認められません。交換業者は暗号資産と法定通貨などの売買を担う主体であり、決済禁止を解除する権限を持つわけではありません。
広告で「暗号資産対応」と表示されていても、それが暗号資産そのものによる決済なのか、支払時に法定通貨へ換金するサービスなのかを確認する必要があります。画面上の操作が似ていても、契約と資金の流れが違えば法的な位置づけも変わります。不明なサービスでは、支払い前に利用規約と取引主体を確認してください。
外国貿易契約や採掘報酬には限定的な例外
調査資料では、外国貿易契約や採掘報酬などに限定的な例外があるとされています。しかし、例外があることは、すべての越境送金や事業決済が自由という意味ではありません。契約の性質、当事者、対象取引、報告や記録の要件を満たす必要があります。
特に外国貿易は、ロシア国内法だけで完結しません。相手国の外為規制、制裁、マネーロンダリング対策、税務、輸出入規制が同時に関係します。ロシア側で限定例外に当たっても、相手方の法域で禁止されている可能性があります。実務では複数法域の確認が欠かせません。
売買できることと決済に使えることを混同しない
制度を読むときは、取得、保有、交換、移転、決済を別々の動詞として整理すると誤解を減らせます。登録交換業者から取得できても、他人へ自由に移転できるとは限らず、店舗で支払えるとも限りません。さらに2027年以降は、一般居住者の移転先にも制限が加わります。
この区別は、日本を含む他国の制度を比較するときにも重要です。「暗号資産が合法」という大まかな表現だけでは、何が認められているのか分かりません。具体的な行為、利用者属性、事業者区分、時点を組み合わせて判断してください。
ロシア国内の登録だけでは制裁リスクを避けられない
ロシア中央銀行の登録はロシア国内制度上の情報です。米国、EU、その他の法域が定める対露制裁への適合を保証しません。制裁は法定通貨だけでなく暗号資産にも及び、事業者、所有者、関連会社、個人、ウォレットアドレスが対象になることがあります。
米国の対露制裁は暗号資産にも適用される
米財務省外国資産管理室(OFAC)のFAQ 1021は、ロシア関連制裁が暗号資産取引にも及ぶと説明しています。米国人、暗号資産交換所、ウォレット事業者などは、制裁対象者が権利や利益を持つ取引を原則として扱えません。暗号資産を使えば銀行網を通らないため制裁と無関係になる、という理解は誤りです。
適用関係は、国籍や居住地だけでなく、企業の設立地、従業員の所在地、利用する金融機関、取引相手などでも変わり得ます。米ドルを使わなければ問題がないとも限りません。自分や所属組織にどの制裁法令が適用されるか分からない場合は、取引を進める前に専門家へ確認してください。
Garantexと関連事業者・アドレスへの措置事例
Garantexを巡っては、米司法省が2025年3月、国際共同作戦による基盤の差し押さえと運営者の起訴を公表しました。司法省は、同取引所が2019年以降に少なくとも960億ドルを処理したと主張しています。これは起訴・捜査当局の主張を含むため、金額の性質を区別して読む必要があります。
同年8月には、米財務省がGarantexを再指定し、後継とされるGrinexや関係者・企業へ措置を広げました。OFACの検索情報には別名、ウェブサイトに加え、BTC、ETH、USDT、TRXのアドレスも掲載されています。社名だけでなく、ウォレットアドレス単位で確認する必要があることを示す事例です。
EUも制裁回避を支援する暗号資産サービスへの規制を強化
欧州委員会が公表した第21次対露制裁には、第三国の制裁回避を支援する暗号資産サービスを禁止できる枠組みと、追加の取引禁止が含まれます。ロシア国内の登録事業者であることは、EUでサービスを提供できることや、EU関係者が利用できることを意味しません。
制裁リストは更新されます。昨日は掲載がなくても、今日指定される可能性があります。また、対象者が一定割合以上所有する法人など、名称が直接リストに載っていなくても規制対象となる考え方が関係する場合があります。検索結果がゼロだったという一点だけで、安全や適法性を断定しないでください。
相手方・アドレス・法域を取引前に確認する
制裁確認では、事業者の正式名称と別名、所有者・支配者、契約相手、入出金アドレス、利用するネットワーク、関係する法域を整理します。アドレスの一部一致や画面のブランド名だけで判断せず、公式リストの識別情報と照合します。送金後は取り消せない場合が多いため、確認は必ず実行前に行います。
一般利用者が高度なブロックチェーン分析を自力で行うのは容易ではありません。少なくとも、事業者が制裁スクリーニングをどう実施するか、入金保留時にどの資料が必要か、資産凍結時の連絡先はどこかを確認しましょう。事業で継続的に扱う場合は、専門の法務・コンプライアンス体制が必要です。
利用前に確認する五つのポイント
確認順は、登録区分、利用者条件、移転先、国内での用途、制裁対象の五つです。登録簿の掲載だけで残り四項目を省略できません。
1.登録簿で事業者名と登録区分を照合する
ロシア中央銀行の公式登録簿を開き、契約相手の正式法人名があるか、交換業者かデジタル保管業者か、登録状態と更新日を確認します。ウェブ広告やアプリのブランド名ではなく、利用規約、入出金画面、請求書などに表示される法人名と一致するかを見ます。
登録が確認できても、元本保証や投資適格性の認定ではありません。サービスの手数料、価格形成、停止条件、苦情窓口、資産記録、サイバーセキュリティなどは別に検討します。ログイン時には偽サイトを避け、URLと証明書、公式アプリの配布元を確認してください。
2.自身の投資家区分と購入上限を確認する
非適格投資家なら、試験の要否、仲介者1社につき年30万ルーブルという上限、対象銘柄を確認します。自分が適格投資家だと思っていても、事業者による確認が完了していなければ、その区分で取引できない可能性があります。必要書類と判定結果を保存しておきましょう。
対象銘柄や信用取引の規則案は、最終化の有無を確認します。銘柄名が過去の案に載っているだけで、現在の取扱いを断定できません。価格や利回りの期待より先に、利用資格と商品条件を確かめることが重要です。
3.送金先と保管方法が認められるか確認する
購入後に個人間で送るのか、別の登録事業者へ移すのか、自己管理ウォレットへ出すのかを決め、各経路がその時点で認められるか確認します。2027年7月以降は、一般居住者についてP2Pと自己管理先への移転が認められない原則が示されています。
送付が認められる場合でも、アドレス、ネットワーク、メモやタグ、最小数量、手数料を照合します。最初に少額で確認する手順は操作ミスの影響を抑える助けになりますが、法令や制裁に反する送金を適法にするものではありません。安全な操作手順は暗号資産を安全に送金する方法も参考にしてください。
4.予定する用途が国内決済に当たらないか確認する
取得・保有・交換・移転・決済のどれを行うかを書き出し、商品やサービスの代金支払いなら原則禁止に当たることを確認します。外国貿易などの例外は、名称だけで判断せず、契約の性質と適用条件を照合してください。
5.関係者とウォレットアドレスを制裁リストで確認する
ロシア側の登録確認とは別に、自分に適用される米国、EU、その他法域の公式制裁リストを確認します。事業者名、別名、所有関係、関係者、ウォレットアドレスを照合し、確認日時と検索条件を記録します。高リスクの取引では、公開検索だけで完了とせず専門家の判断を得ます。
登録、利用資格、移転可能性、国内決済、国外制裁は別々の五つの判断軸です。各項目を順に確認してください。
まとめ:登録は確認の出発点であり、安全の包括保証ではない
ロシアでは2026年10月、交換業者4社とデジタル保管業者5社が初めて登録され、暗号資産市場の制度運用が具体化しました。交換業者は自己名義・自己勘定の売買、保管業者は記録・移転・アドレスへのアクセスという異なる役割を担います。
個人利用者は、投資家区分、試験、購入上限、対象銘柄を確認しなければなりません。2027年7月以降は一般居住者の取引が原則として登録仲介者経由となり、P2Pと自己管理ウォレットへの移転が認められないとされています。一方、事業者の全面適合期限としては2027年9月1日が示されているため、日付と対象義務を分けて読みます。
国内の商品・サービスへの決済は原則禁止で、国外制裁も別途適用されます。利用前には、登録区分、利用者条件、移転先、国内での用途、制裁対象の五つを確認してください。登録は確認の出発点であり、元本や安全性、あらゆる法域での適法性を包括的に保証するものではありません。